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日欧EPA大枠合意 発効のメリットと国内対策

[2017-07-30]

日欧EPA大枠合意 発効のメリットと国内対策


EU品目の99%関税撤廃
GDP世界3割の巨大経済圏
輸入食品中心に値下げ、家計に恩恵
日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が今月6日、大枠合意に達した。協定発効によって期待されるメリットを紹介するとともに、影響が懸念される国内農業への対策について、公明党農林水産部会長の稲津久衆院議員に聞いた。

EPAとは、貿易や企業の投資、人の往来を活発にしようと、二国間や多くの国・地域で交わす国際協定のこと。農産物や工業製品などの輸入にかかる関税を撤廃・削減するほか、投資や知的財産の保護に関するルールを包括的に定める。経済がグローバル化する中、日本は成長戦略の重要な柱に位置付けている。

日欧EPAが発効すれば、域内の総人口は約6.4億人に上り、世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める巨大な経済圏が誕生する。米国が環太平洋連携協定(TPP)から離脱を表明するなど保護主義的な動きが世界に広がる中、日欧が自由貿易体制を守り抜く強い決意を世界に示した点で、非常に意義深い合意と評価されている。

特に注目されているのが関税の撤廃・引き下げで、撤廃は欧州向け全品目の約99%、日本の輸入品目でも90%を超える。欧州には日本人にとって身近な食品が多い。協定が発効されれば輸入食品を中心に値下がりが期待でき、消費者に幅広く恩恵が及びそうだ。

例えば、有名なチーズでは、カマンベルチーズなどのソフトチーズの関税(主に29.8%)を中心に、2万トン(製品ベース)の低関税輸入枠を設けて段階的に引き下げ、15年でゼロにする。ワインの関税(15%または1リットル当たり125円のいずれか低い方)は、即時ゼロになる。

加工食品の関税も撤廃が進む。パスタ(1キロ当たり30円)やチョコレート菓子(10%)は10年でゼロに。バッグなど皮革製品(最高30%)の関税も10年または15年で撤廃、消費者はその分安く購入できる。

工業製品など 輸出拡大に弾み

協定は、日本からEUへの輸出でもメリットが多く、輸出拡大の追い風となる。

欧州が日本製の乗用車に課す関税(10%)は段階的に引き下げ7年で撤廃。自動車部品(最大4.5%)や一般機械や化学工業製品、電気機器の関税も即時ゼロに。交渉が難航したテレビ(最大14%)は5年間かけて関税を撤廃する。

一方、日本酒(100リットル当たり最大7.7ユーロ)や、緑茶(最大3.2%)の関税も即時撤廃。海外での日本食ブームを背景に欧州への輸出拡大が期待される。

関税以外でも幅広い分野で輸出入を促進するルールが整備された。例えば、日本の国産ブドウのみを原料として国内で製造した「日本ワイン」について、現在は輸出証明書の取得が義務付けられていたが不要になる。 

公明、農家への配慮を政府に要望

協定発効に伴うメリットに注目が集まる一方、課題も少なくない。多くの農林水産物で関税がゼロになるため、厳しい競争にさらされる。国内の農業関係者への配慮が欠かせない。政府は、国内の畜産農家を支援する基本方針を決定するなど、対策に乗り出した。

豚肉や鶏肉も関税が撤廃されるが、飼育基準などを満たしていないことを理由にEUは輸入を認めていない。今後の政府間交渉で、こうした障害を乗り越えることが求められる。

公明党は、6月に党政務調査会に対策本部を設置し、政府の対応を後押ししてきた。同22日には、全国農業協同組合中央会(JA全中)など関連団体から要望を聴取。これらの内容を踏まえ、同28日に外務省へ交渉に関する申し入れを行い輸出拡大の条件整備などを訴えた。大枠合意後も党の会合で、国内対策の必要性を政府側に求めている。

ロボット導入や新技術開発など安定生産できる支援体制を

党農林水産部会長 稲津久衆院議員

日欧EPAの大枠合意は、日本に大きな恩恵をもたらす一方、国内の畜産農家が激しい競争にさらされることは間違いありません。

2015年のTPPの大筋合意では、政府は国内経済に与える影響の試算を公表していましたが、今回は公表されていません。多くの畜産農家は先行きに不安を抱えており、政府は情報提供と丁寧な説明が必要です。

特に、大きな影響を受けると懸念されているのが酪農です。

中でもチーズについては、一部品目でTPPを上回る自由化が実現します。酪農王国である北海道では、牛乳の全生産量の8割以上がチーズなどの加工原料乳として生産されていますが、加工乳と飲用乳の需給バランスが崩れる可能性が指摘されています。今後も安定的に生産できる支援体制を構築していきます。

EUから輸入されるチーズに対抗するには、ブランド力の強化が鍵を握ります。例えば、地域ブランドとして高付加価値の製品を作る小さな工房には、低コスト化や品質向上などを後押しします。

牛肉や豚肉の関税も引き下げられるので、国内の生産者への影響も考慮しなければなりません。生産者の赤字を補てんする牛・豚マルキン(経営安定対策事業)をTPP発効に備えて創設していますが、日欧EPA対策として早期に導入できるよう検討を促します。

何より、日本の畜産が生き残っていくには、生産力の維持・向上が不可欠です。搾乳ロボットの導入や新技術の開発などが待たれますが、こうした支援体制を前進させるためにも、秋にも予定される臨時国会で今年度補正予算の編成を政府に求めていきます。

日欧EPA大枠合意 発効のメリットと国内対策


EU品目の99%関税撤廃
GDP世界3割の巨大経済圏
輸入食品中心に値下げ、家計に恩恵
日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が今月6日、大枠合意に達した。協定発効によって期待されるメリットを紹介するとともに、影響が懸念される国内農業への対策について、公明党農林水産部会長の稲津久衆院議員に聞いた。

EPAとは、貿易や企業の投資、人の往来を活発にしようと、二国間や多くの国・地域で交わす国際協定のこと。農産物や工業製品などの輸入にかかる関税を撤廃・削減するほか、投資や知的財産の保護に関するルールを包括的に定める。経済がグローバル化する中、日本は成長戦略の重要な柱に位置付けている。

日欧EPAが発効すれば、域内の総人口は約6.4億人に上り、世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める巨大な経済圏が誕生する。米国が環太平洋連携協定(TPP)から離脱を表明するなど保護主義的な動きが世界に広がる中、日欧が自由貿易体制を守り抜く強い決意を世界に示した点で、非常に意義深い合意と評価されている。

特に注目されているのが関税の撤廃・引き下げで、撤廃は欧州向け全品目の約99%、日本の輸入品目でも90%を超える。欧州には日本人にとって身近な食品が多い。協定が発効されれば輸入食品を中心に値下がりが期待でき、消費者に幅広く恩恵が及びそうだ。

例えば、有名なチーズでは、カマンベルチーズなどのソフトチーズの関税(主に29.8%)を中心に、2万トン(製品ベース)の低関税輸入枠を設けて段階的に引き下げ、15年でゼロにする。ワインの関税(15%または1リットル当たり125円のいずれか低い方)は、即時ゼロになる。

加工食品の関税も撤廃が進む。パスタ(1キロ当たり30円)やチョコレート菓子(10%)は10年でゼロに。バッグなど皮革製品(最高30%)の関税も10年または15年で撤廃、消費者はその分安く購入できる。

工業製品など 輸出拡大に弾み

協定は、日本からEUへの輸出でもメリットが多く、輸出拡大の追い風となる。

欧州が日本製の乗用車に課す関税(10%)は段階的に引き下げ7年で撤廃。自動車部品(最大4.5%)や一般機械や化学工業製品、電気機器の関税も即時ゼロに。交渉が難航したテレビ(最大14%)は5年間かけて関税を撤廃する。

一方、日本酒(100リットル当たり最大7.7ユーロ)や、緑茶(最大3.2%)の関税も即時撤廃。海外での日本食ブームを背景に欧州への輸出拡大が期待される。

関税以外でも幅広い分野で輸出入を促進するルールが整備された。例えば、日本の国産ブドウのみを原料として国内で製造した「日本ワイン」について、現在は輸出証明書の取得が義務付けられていたが不要になる。 

公明、農家への配慮を政府に要望

協定発効に伴うメリットに注目が集まる一方、課題も少なくない。多くの農林水産物で関税がゼロになるため、厳しい競争にさらされる。国内の農業関係者への配慮が欠かせない。政府は、国内の畜産農家を支援する基本方針を決定するなど、対策に乗り出した。

豚肉や鶏肉も関税が撤廃されるが、飼育基準などを満たしていないことを理由にEUは輸入を認めていない。今後の政府間交渉で、こうした障害を乗り越えることが求められる。

公明党は、6月に党政務調査会に対策本部を設置し、政府の対応を後押ししてきた。同22日には、全国農業協同組合中央会(JA全中)など関連団体から要望を聴取。これらの内容を踏まえ、同28日に外務省へ交渉に関する申し入れを行い輸出拡大の条件整備などを訴えた。大枠合意後も党の会合で、国内対策の必要性を政府側に求めている。

ロボット導入や新技術開発など安定生産できる支援体制を

党農林水産部会長 稲津久衆院議員

日欧EPAの大枠合意は、日本に大きな恩恵をもたらす一方、国内の畜産農家が激しい競争にさらされることは間違いありません。

2015年のTPPの大筋合意では、政府は国内経済に与える影響の試算を公表していましたが、今回は公表されていません。多くの畜産農家は先行きに不安を抱えており、政府は情報提供と丁寧な説明が必要です。

特に、大きな影響を受けると懸念されているのが酪農です。

中でもチーズについては、一部品目でTPPを上回る自由化が実現します。酪農王国である北海道では、牛乳の全生産量の8割以上がチーズなどの加工原料乳として生産されていますが、加工乳と飲用乳の需給バランスが崩れる可能性が指摘されています。今後も安定的に生産できる支援体制を構築していきます。

EUから輸入されるチーズに対抗するには、ブランド力の強化が鍵を握ります。例えば、地域ブランドとして高付加価値の製品を作る小さな工房には、低コスト化や品質向上などを後押しします。

牛肉や豚肉の関税も引き下げられるので、国内の生産者への影響も考慮しなければなりません。生産者の赤字を補てんする牛・豚マルキン(経営安定対策事業)をTPP発効に備えて創設していますが、日欧EPA対策として早期に導入できるよう検討を促します。

何より、日本の畜産が生き残っていくには、生産力の維持・向上が不可欠です。搾乳ロボットの導入や新技術の開発などが待たれますが、こうした支援体制を前進させるためにも、秋にも予定される臨時国会で今年度補正予算の編成を政府に求めていきます。





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