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「中道」こそ時代の要請 公明新聞論説委員会

[2018-11-14]

「中道」こそ時代の要請 公明新聞論説委員会
<生命・生活・生存>最大に尊重する人間主義で「平和・共生」社会構築へ
「連立」維持し、合意形成図り、改革のリーダーシップ発揮
公明党は17日、結党54年を迎える。今日に至るまで、公明党を営々として支え、支援し、見守ってくださった党員、支持者、創価学会員の皆様、そして多くの国民の皆様に心より厚く感謝を申し上げます。

公明党は結党以来、党の理念・路線として、「中道」(中道主義・中道政治)を掲げている。「人間性の尊重」「人間主義」をその基軸とした。結党記念日を迎えるに当たり、改めてその意義を確認し、その宣揚を期してまいりたい。

今年10月、都内で米政治学者のイアン・ブレマー氏と経団連の中西宏明会長が共同議長を務める「GZERO(Gゼロ)サミット」が開かれた際、両氏は読売新聞に共同寄稿し、その中で、こう述べた。

「世界の至るところで変化を求める風が吹き荒れ、政治情勢が一変しつつある。……中道よりの政策を続けてきた伝統的政党が保守もリベラルも押し流されてしまう中、日本だけは民主主義の基盤のもとで連立与党が長期にわたって安定した政権を維持している。世界で最も緊張が高まる地域に位置しているにもかかわらず、その安定が保たれているのである。……他の民主主義国が社会の分裂に直面する中にあっても、日本の政治は今もコンセンサスをベースに動いている」(10月20日付)と。

民主主義国家において、「政治の安定」を欠けば、適切に物事を決めることに支障を来し、政治の停滞やポピュリズム(大衆迎合主義)に堕すなどして混乱・混迷し、各方面に多大な悪影響や不利益を生じかねない。平常時でもそうだが、まして変化、変化の激動の時代なら、政治が事態打開の対応・処理能力を欠くことから、右往左往したり、行き先不明の漂流状態になったりで、それこそ国家と社会に深刻な危機をもたらしかねない。あるいは政治の不安定に付け入る形で専制勢力の台頭を許し、民主主義の基盤それ自体に深刻なダメージすら及ぼしかねないだろう。「政治の安定」の重要性はどんなに強調しても、し過ぎることはない。

上記のブレマー、中西の両氏の指摘は、国際社会での比較の中で、日本政治の特長として自公連立政権の長期安定を挙げており、さらに「コンセンサスをベースに動いている」つまり合意形成を軸に政治が運営されていることも、その特質として言及している。暗にそれは公明党の連立参加の妥当性と中道政治の特徴である「合意形成政治」のありようを率直に評価するものであろう。

公明党が自民党との連立政権に加わったのは1999年10月で、「保守・中道」の自・公連立体制は、3年余の民主党政権時代(09年9月~12年12月)を除き、今日まで既に16年余続いている。その公明党の連立参加の旗印となっていたのは、「政治の安定と改革のリーダーシップ発揮」である。単に「政治の安定」だけならば、数的な“補完”勢力となってしまう。「改革のリーダーシップ発揮」こそ公明党の連立参加の主目的である。「中道政治」実現の格好の機会・舞台としての連立参加である。

自公連立の契機となったのは、日本が98年9月から10月にかけて、日本発の金融恐慌勃発直前の最悪の事態に陥った際、破綻前の金融機関に公的資金を投入する「金融早期健全化法」に対し、野党第1党の民主党(当時)が反対する中、第3党の公明党(当時=平和・改革)が未曽有の経済危機の深刻化に対応するため国家・国民の立場から判断して賛成に回ったことである。中道の主体性を発揮した、この公明党の政策対応で「日本は救われた」と評され、それが自・公体制の原形となった。

自公連立のこの16年間、公明党が主導した実績は多々あるが、その主なものとして、持続可能とするための年金制度改革、国民を守るための隙間のない安全保障体制整備に際しての歯止め措置「自衛権発動の新3要件」導入、消費税率10%引き上げ時に軽減税率導入……などがある。まさに“改革のエンジン役”としての役割を積極的に果たしてきた。政権与党の一員として、現実と必死に格闘し、単なる批判や反対の類いを乗り越え、毀誉褒貶にもとらわれず、選挙で自党に不利になることも辞さず、国家と国民のために、懸命に取り組み、行動してきた。

その一方で、右傾化や権力の暴走を阻止するための“ブレーキ役”も果敢に務めてきた。そうした行動を通じて、公明党に対し、日本政治の「碇」役、「要政党」といった評価もなされている。「中道」公明党の存在感を如実に示す別称でもあろう。

公明党の連立参加当時、戦後以来ずっと、長期一党支配を続けてきた自民党が89年参院選の結果、参院で単独過半数割れとなり、政治基盤の不安定化を招くことになった。折しも、俗に「1989年革命」と呼ばれる、同年の米ソ首脳会談における東西冷戦の終結宣言、ソ連・東欧型社会主義の崩壊という大激変を受け、国際情勢は著しく不透明化していた。

こうした国内外情勢の大激変を受け、日本政治も混迷を深める中、公明党は89年参院選結果でキャスチングボート(政治の決定票)を握ることとなり、改めて「中道」公明党の存在感を鮮明にし、時代と社会の新たな展望を切り開くため、90年4月の第28回党大会と同年11月の第29回党大会で、中道の理念・路線の意味合い、特色を今日的に明確化したのである。

すなわち、“理念としての中道”として、「〈生命・生活・生存〉を最大に尊重する人間主義」とし、同大会に提出された「90年代における公明党の指標」の中でその意義付けを明示した。同「公明党の指標」は準綱領的文書とされ、その原形は現公明党綱領(98年11月7日制定)に継承された。

また、“路線としての中道”として、日本の政治における座標軸の役割を果たすことをめざし、上記の人間主義の理念を基軸として、(1)左右の揺れを防ぎ、偏ぱを正し、政治の安定に寄与する、(2)不毛な対決を避け、国民的な合意形成に尽力する、(3)諸課題に対し、時代の変化に応じた解決のための建設的、クリエーティブ(創造的)な政策提言を行う、との三つの役割を持つものである、とした。

こうした中道の理念、路線の明確化のもと、第29回党大会で「三極(自民党、社会党、中道=公明党)の中の一極として中道の主体性を発揮する」との政治路線を定めた。その路線の真価が発揮されたのは、同路線制定直後に勃発した湾岸戦争で、クウェートに侵攻したイラク軍を撤退させるための多国籍軍に対する、日本への90億ドル追加支援要請の諾否は日本の命運を決すると目されていたことについて、社会党などが猛反対する中、公明党が条件付き賛成に踏み切って実現させたことである。あるいは日本の新たな国際貢献策である、PKО(国連平和維持活動)協力に対し、やはり社会党などが猛反対する中、公明党がその法制化実現を主導し、日本の新たな国際平和貢献策を生み出したことである。

いずれも内外から高い評価を得た事例で、キャスチングボートを握る公明党がそれを生かし、中道の主体性を遺憾なく発揮して、日本の政治を動かし、公明党の存在感を国の内外に強く印象付けた。のみならず、公明党としてのこの二つの取り組みが、後に93年の細川連立政権を生み出す契機となり、また同政権による政治改革の実現で、政権交代時代の政治的土台を築くこととなったのである。

日本政治の「座標軸」の役割を果たすことめざす
時代を振り返れば、公明党結党時(1964年)は東西冷戦の只中にあり、日本国内においても、その代理戦争的な自民党対社会党という二大政党下で、図式化すれば「保守=右=資本主義堅持=親米反共」「革新=左=社会主義志向=反米親共(親ソ連・親中国)」といった不毛なイデオロギー対決に明け暮れていた。かつ自民党は大企業・業界団体の立場優先。一方の社会党は労働組合の意向重視で、庶民・大衆の利益はその谷間に置き去りにされていた。そこに中道の公明党結成の時代的要請があった。そして公明党は、イデオロギー偏重や企業利益優先の政治から人間本位の政治への転換を訴え、当時軽視されていた「福祉」の実現や、国民の生命や生活を著しく脅かす「公害」の撲滅など、国民生活第一の政治展開を積極果敢に行ってきた。

国会行動でも、自社二大政党の「55年体制」下では、自民党の多数をかさに着た「強行採決」と社会党の「何でも反対・審議拒否」が繰り返される中で、「中道」公明党は議会政治の本道である「話し合い・合意形成」路線を貫いてきた。

社会体制の変革についても、左翼陣営がめざす「革命」断行による「体制転換」という一挙飛躍の急進主義を排し、公明党は自らの理想や「福祉社会トータルプラン」といったグランド・デザインを持ちつつ、日常性に埋没することなく、目の前の現実的課題に真正面から取り組み、着実な現状改革を追求する「漸進主義」のアプローチを主張した。

そのように「中道」公明党は、イデオロギー優先ではなく生活者中心、対決一辺倒でなく合意形成の政治、党利党略優先でなく国民本位、政局第一ではなく政策中心、観念でなく現実重視、急進主義ではなく漸進主義、といった発想と行動様式を貫いてきた。

「中道政治とは何か」と題して論述した、市川雄一・党特別顧問(当時)の言葉を借りれば、「中道とは、左右を足して2で割ったものではない。折半でも、折中でも、中間でも、真ん中でもない。バランスは政治判断において大事だが、バランスがそのままイコール中道を意味するものではない。中道とは、『それ自体の独立した価値』(佐瀬昌盛氏・『読売』14年11月7日付)を持つ理念であり、実践の規範となるものである」(「公明新聞」16年10月3日付)と。

また、「政治路線としては、左右の極端に走らず、急進的ではなく漸進的で、穏当な路線である。具体的には、日本の政治の座標軸である事をめざし、(1)政治の左右への揺れや偏ぱを防ぎ、政治の安定に寄与する(2)賛成と反対だけの不毛な対決を避け、国民的な合意形成に貢献する(3)新しい課題に対しては、創造的な解決策を提案する、この三つを基本としている」(同)。

そして、「実践の規範としては、中道政治とは、政治の現場において、世論が二分するような重要な案件で与野党が対立した時、そのどちらの側にも偏らず、この二者の立場や対立にとらわれることなく、理の通った議論を通じて、国民の常識に適った結論(正解)をさがし、創り出すことを基本とする考え方である。あえて、つづめて言えば、中道政治とは、『国民の常識に適った政治の決定』を行うことを基本とする考え方であると言っても良い。もちろん、その結論(政治の決定)は政治の結果責任に十分に耐え得るものでなければなるまい」(同)と。

そもそも中道とは、“道に中(あた)る”と読むように、あるべき「道」、換言すれば「根本的価値」といえるが、それを見据え、基軸とする、姿勢であり、実践であり、運動である。その根本的価値について、われわれ公明党は、こう規定する。現綱領に詳述されているが、すなわち、一切は人間自身の幸福な生存こそが根本目的であり、人間自身を超えた何らかの外部価値や権威の絶対化により人間が手段化されてはならない。国家であれ、いかなる主義・主張であれ、機構や制度、科学や経済であれ、それらはすべて人間に奉仕すべきである。手段と目的の本末転倒があってはならない。

そのためには「生命の尊厳性」という視座を一切の根底に置くべきこと。国家、行政、社会はすべて国民=生活者のためにあり、生活者に奉仕するという理念を確立し、生活者を重視した制度・体制・機構を構築すること。のみならず21世紀の世界は、「戦争と暴力の世紀」と呼ばれた20世紀の悲劇を繰り返してはならず、人類は狭隘な国益至上主義を乗り越えて「地球益」「人類益」に立った連帯を築くべきであり、そのためにも地球民族主義ともいうべき人類共同体意識の確立、人類的生存権を最優先する原則に立つべきであること。これが、<生命・生活・生存>を最大に尊重する人間主義=中道の本質であると。

むろん公明党が、そうした中道の理念・路線の下、政治的リーダーシップを発揮し、日本政治の座標軸の役割を果たすためには、党自身が誰よりも、先見性や洞察力、冷徹な分析力、合理的判断力、大局観と総合力といった政治的知恵を磨きに磨くことが不可欠であり、自己研さん、自己練磨に不断に努めなければならない。

また、公明党の中道路線は与党・野党の立場に変わりなく一貫したものであるが、中道政治それ自体の影響力としては、当然ながら、公明党の党勢・力量が強く高いほど、大きいものとなるのはいうまでもない。

さらに、「政治の本質的属性は権力であり、……政治をおこなう者は、権力それ自体のためであれ、他の目的のための手段としてであれ、権力を追求せざるをえない」「権力が一切の政治的行為の原動力」(マックス・ヴェーバー)と見なされており、権力を行使する立場、すなわち政権与党の座にあることは、当然ながら、中道の影響力発揮をより可能ならしめる。その意味で、現にわが党は長期にわたり政権の一翼を担っており、引き続き現在の自公政権を今後とも存続・発展できるよう、従来にも増して国民の支持と理解を得るべく最大努力していかねばならない。

「分断」「対立」から「統合」「協調」へと促す理念と政治手法
公明党が、高く掲げ、実践している、中道政治の理念・手法は、日本政治におけるのみならず、現今の混迷する国際政治の場裏においても、現状打開・改善を図る上で重要な示唆を与え得るのではないか。

欧米社会では昨今、グローバル化がもたらしたマイナス面ともいうべき富の偏在と貧富の格差拡大、中流・中間層の没落、産業の国外移転に因る雇用減・賃金伸び悩みなどによる社会的不安定化、また移民・難民流入をめぐる排外的ナショナリズム台頭、テロ横行への恐怖など、政治、経済、社会の病理が顕在化しているが、これら諸課題に取り組む政治の側にポピュリズムが蔓延。問題解決を難しくしているだけでなく、政治システムである民主主義を揺るがせ、社会的亀裂を助長し、二極化分裂、左右勢力の対立を煽る形となっている。その結果、随所で“分裂・分断・分極化”を深くし、民主主義の停滞・後退・劣化を招き、政治的社会的安定を損ねている。

こうした状況に対し、例えばイギリスのトニー・ブレア元首相は、「分裂の時代こそ、中道から革命を」(「ニューズウィーク」18年1月2日&9日号)と題し、こう指摘する。「最近の欧米の二極化には恐怖を覚えるほどだ。国民は互いに考え方を共有せず、協力せず、好意も持たない『2つの国』に分裂している。こんな状況が続けばいずれ民主主義は魅力を失い、政府は機能しなくなる。……だからこそ両極の間に橋を架ける政治、2つの点で従来とは異なる中道政治が必要だ」と。いうところの「2つの点」とは、徹底的な変革の必要性と、中道派の政治家の党の枠組みを超えての連携のあり方を指し、「革命の時代精神を極右と極左に独占させるのは惜しい。中道も、停滞した今の政治を破壊する力を身に付けるべきだ」(同)と強調している。

むろん公明党の唱える中道と、トニー・ブレア元英首相の言う中道とは同じものではないが、めざす方向性については共通するものがあり、中道勢力の奮起と、その果たす役割の重要性を訴えるものであろう。

冒頭部分で引用・紹介した、米政治学者のイアン・ブレマー氏はGゼロ・サミットでの講演の中で、「日本は民主主義がまだ機能しており、世界のモデルだ」と述べ、日本が世界の秩序維持のためにより大きな役割を担うべきだとの考えを示した(「読売」18年10月20日付)、と伝えられた。国内外とも激動する時代の渦中にある我々にとって、国内政治の向上・発展を期するのはむろんのこと、社会に瀰漫する対決と分断の悪弊を是正し、民主主義機能を蘇生させ、秩序ある政治経済システムを築き直し、21世紀を「平和と共生の地球社会」とするためにも、前述のような積極的な意義内容を持つ中道の理念・手法を、状況転換への方向定位すべき座標軸の原点に据え、その宣揚と影響力の拡大・強化を進めていくことが、今日何よりも求められていよう。

「中道」こそ時代の要請 公明新聞論説委員会
<生命・生活・生存>最大に尊重する人間主義で「平和・共生」社会構築へ
「連立」維持し、合意形成図り、改革のリーダーシップ発揮
公明党は17日、結党54年を迎える。今日に至るまで、公明党を営々として支え、支援し、見守ってくださった党員、支持者、創価学会員の皆様、そして多くの国民の皆様に心より厚く感謝を申し上げます。

公明党は結党以来、党の理念・路線として、「中道」(中道主義・中道政治)を掲げている。「人間性の尊重」「人間主義」をその基軸とした。結党記念日を迎えるに当たり、改めてその意義を確認し、その宣揚を期してまいりたい。

今年10月、都内で米政治学者のイアン・ブレマー氏と経団連の中西宏明会長が共同議長を務める「GZERO(Gゼロ)サミット」が開かれた際、両氏は読売新聞に共同寄稿し、その中で、こう述べた。

「世界の至るところで変化を求める風が吹き荒れ、政治情勢が一変しつつある。……中道よりの政策を続けてきた伝統的政党が保守もリベラルも押し流されてしまう中、日本だけは民主主義の基盤のもとで連立与党が長期にわたって安定した政権を維持している。世界で最も緊張が高まる地域に位置しているにもかかわらず、その安定が保たれているのである。……他の民主主義国が社会の分裂に直面する中にあっても、日本の政治は今もコンセンサスをベースに動いている」(10月20日付)と。

民主主義国家において、「政治の安定」を欠けば、適切に物事を決めることに支障を来し、政治の停滞やポピュリズム(大衆迎合主義)に堕すなどして混乱・混迷し、各方面に多大な悪影響や不利益を生じかねない。平常時でもそうだが、まして変化、変化の激動の時代なら、政治が事態打開の対応・処理能力を欠くことから、右往左往したり、行き先不明の漂流状態になったりで、それこそ国家と社会に深刻な危機をもたらしかねない。あるいは政治の不安定に付け入る形で専制勢力の台頭を許し、民主主義の基盤それ自体に深刻なダメージすら及ぼしかねないだろう。「政治の安定」の重要性はどんなに強調しても、し過ぎることはない。

上記のブレマー、中西の両氏の指摘は、国際社会での比較の中で、日本政治の特長として自公連立政権の長期安定を挙げており、さらに「コンセンサスをベースに動いている」つまり合意形成を軸に政治が運営されていることも、その特質として言及している。暗にそれは公明党の連立参加の妥当性と中道政治の特徴である「合意形成政治」のありようを率直に評価するものであろう。

公明党が自民党との連立政権に加わったのは1999年10月で、「保守・中道」の自・公連立体制は、3年余の民主党政権時代(09年9月~12年12月)を除き、今日まで既に16年余続いている。その公明党の連立参加の旗印となっていたのは、「政治の安定と改革のリーダーシップ発揮」である。単に「政治の安定」だけならば、数的な“補完”勢力となってしまう。「改革のリーダーシップ発揮」こそ公明党の連立参加の主目的である。「中道政治」実現の格好の機会・舞台としての連立参加である。

自公連立の契機となったのは、日本が98年9月から10月にかけて、日本発の金融恐慌勃発直前の最悪の事態に陥った際、破綻前の金融機関に公的資金を投入する「金融早期健全化法」に対し、野党第1党の民主党(当時)が反対する中、第3党の公明党(当時=平和・改革)が未曽有の経済危機の深刻化に対応するため国家・国民の立場から判断して賛成に回ったことである。中道の主体性を発揮した、この公明党の政策対応で「日本は救われた」と評され、それが自・公体制の原形となった。

自公連立のこの16年間、公明党が主導した実績は多々あるが、その主なものとして、持続可能とするための年金制度改革、国民を守るための隙間のない安全保障体制整備に際しての歯止め措置「自衛権発動の新3要件」導入、消費税率10%引き上げ時に軽減税率導入……などがある。まさに“改革のエンジン役”としての役割を積極的に果たしてきた。政権与党の一員として、現実と必死に格闘し、単なる批判や反対の類いを乗り越え、毀誉褒貶にもとらわれず、選挙で自党に不利になることも辞さず、国家と国民のために、懸命に取り組み、行動してきた。

その一方で、右傾化や権力の暴走を阻止するための“ブレーキ役”も果敢に務めてきた。そうした行動を通じて、公明党に対し、日本政治の「碇」役、「要政党」といった評価もなされている。「中道」公明党の存在感を如実に示す別称でもあろう。

公明党の連立参加当時、戦後以来ずっと、長期一党支配を続けてきた自民党が89年参院選の結果、参院で単独過半数割れとなり、政治基盤の不安定化を招くことになった。折しも、俗に「1989年革命」と呼ばれる、同年の米ソ首脳会談における東西冷戦の終結宣言、ソ連・東欧型社会主義の崩壊という大激変を受け、国際情勢は著しく不透明化していた。

こうした国内外情勢の大激変を受け、日本政治も混迷を深める中、公明党は89年参院選結果でキャスチングボート(政治の決定票)を握ることとなり、改めて「中道」公明党の存在感を鮮明にし、時代と社会の新たな展望を切り開くため、90年4月の第28回党大会と同年11月の第29回党大会で、中道の理念・路線の意味合い、特色を今日的に明確化したのである。

すなわち、“理念としての中道”として、「〈生命・生活・生存〉を最大に尊重する人間主義」とし、同大会に提出された「90年代における公明党の指標」の中でその意義付けを明示した。同「公明党の指標」は準綱領的文書とされ、その原形は現公明党綱領(98年11月7日制定)に継承された。

また、“路線としての中道”として、日本の政治における座標軸の役割を果たすことをめざし、上記の人間主義の理念を基軸として、(1)左右の揺れを防ぎ、偏ぱを正し、政治の安定に寄与する、(2)不毛な対決を避け、国民的な合意形成に尽力する、(3)諸課題に対し、時代の変化に応じた解決のための建設的、クリエーティブ(創造的)な政策提言を行う、との三つの役割を持つものである、とした。

こうした中道の理念、路線の明確化のもと、第29回党大会で「三極(自民党、社会党、中道=公明党)の中の一極として中道の主体性を発揮する」との政治路線を定めた。その路線の真価が発揮されたのは、同路線制定直後に勃発した湾岸戦争で、クウェートに侵攻したイラク軍を撤退させるための多国籍軍に対する、日本への90億ドル追加支援要請の諾否は日本の命運を決すると目されていたことについて、社会党などが猛反対する中、公明党が条件付き賛成に踏み切って実現させたことである。あるいは日本の新たな国際貢献策である、PKО(国連平和維持活動)協力に対し、やはり社会党などが猛反対する中、公明党がその法制化実現を主導し、日本の新たな国際平和貢献策を生み出したことである。

いずれも内外から高い評価を得た事例で、キャスチングボートを握る公明党がそれを生かし、中道の主体性を遺憾なく発揮して、日本の政治を動かし、公明党の存在感を国の内外に強く印象付けた。のみならず、公明党としてのこの二つの取り組みが、後に93年の細川連立政権を生み出す契機となり、また同政権による政治改革の実現で、政権交代時代の政治的土台を築くこととなったのである。

日本政治の「座標軸」の役割を果たすことめざす
時代を振り返れば、公明党結党時(1964年)は東西冷戦の只中にあり、日本国内においても、その代理戦争的な自民党対社会党という二大政党下で、図式化すれば「保守=右=資本主義堅持=親米反共」「革新=左=社会主義志向=反米親共(親ソ連・親中国)」といった不毛なイデオロギー対決に明け暮れていた。かつ自民党は大企業・業界団体の立場優先。一方の社会党は労働組合の意向重視で、庶民・大衆の利益はその谷間に置き去りにされていた。そこに中道の公明党結成の時代的要請があった。そして公明党は、イデオロギー偏重や企業利益優先の政治から人間本位の政治への転換を訴え、当時軽視されていた「福祉」の実現や、国民の生命や生活を著しく脅かす「公害」の撲滅など、国民生活第一の政治展開を積極果敢に行ってきた。

国会行動でも、自社二大政党の「55年体制」下では、自民党の多数をかさに着た「強行採決」と社会党の「何でも反対・審議拒否」が繰り返される中で、「中道」公明党は議会政治の本道である「話し合い・合意形成」路線を貫いてきた。

社会体制の変革についても、左翼陣営がめざす「革命」断行による「体制転換」という一挙飛躍の急進主義を排し、公明党は自らの理想や「福祉社会トータルプラン」といったグランド・デザインを持ちつつ、日常性に埋没することなく、目の前の現実的課題に真正面から取り組み、着実な現状改革を追求する「漸進主義」のアプローチを主張した。

そのように「中道」公明党は、イデオロギー優先ではなく生活者中心、対決一辺倒でなく合意形成の政治、党利党略優先でなく国民本位、政局第一ではなく政策中心、観念でなく現実重視、急進主義ではなく漸進主義、といった発想と行動様式を貫いてきた。

「中道政治とは何か」と題して論述した、市川雄一・党特別顧問(当時)の言葉を借りれば、「中道とは、左右を足して2で割ったものではない。折半でも、折中でも、中間でも、真ん中でもない。バランスは政治判断において大事だが、バランスがそのままイコール中道を意味するものではない。中道とは、『それ自体の独立した価値』(佐瀬昌盛氏・『読売』14年11月7日付)を持つ理念であり、実践の規範となるものである」(「公明新聞」16年10月3日付)と。

また、「政治路線としては、左右の極端に走らず、急進的ではなく漸進的で、穏当な路線である。具体的には、日本の政治の座標軸である事をめざし、(1)政治の左右への揺れや偏ぱを防ぎ、政治の安定に寄与する(2)賛成と反対だけの不毛な対決を避け、国民的な合意形成に貢献する(3)新しい課題に対しては、創造的な解決策を提案する、この三つを基本としている」(同)。

そして、「実践の規範としては、中道政治とは、政治の現場において、世論が二分するような重要な案件で与野党が対立した時、そのどちらの側にも偏らず、この二者の立場や対立にとらわれることなく、理の通った議論を通じて、国民の常識に適った結論(正解)をさがし、創り出すことを基本とする考え方である。あえて、つづめて言えば、中道政治とは、『国民の常識に適った政治の決定』を行うことを基本とする考え方であると言っても良い。もちろん、その結論(政治の決定)は政治の結果責任に十分に耐え得るものでなければなるまい」(同)と。

そもそも中道とは、“道に中(あた)る”と読むように、あるべき「道」、換言すれば「根本的価値」といえるが、それを見据え、基軸とする、姿勢であり、実践であり、運動である。その根本的価値について、われわれ公明党は、こう規定する。現綱領に詳述されているが、すなわち、一切は人間自身の幸福な生存こそが根本目的であり、人間自身を超えた何らかの外部価値や権威の絶対化により人間が手段化されてはならない。国家であれ、いかなる主義・主張であれ、機構や制度、科学や経済であれ、それらはすべて人間に奉仕すべきである。手段と目的の本末転倒があってはならない。

そのためには「生命の尊厳性」という視座を一切の根底に置くべきこと。国家、行政、社会はすべて国民=生活者のためにあり、生活者に奉仕するという理念を確立し、生活者を重視した制度・体制・機構を構築すること。のみならず21世紀の世界は、「戦争と暴力の世紀」と呼ばれた20世紀の悲劇を繰り返してはならず、人類は狭隘な国益至上主義を乗り越えて「地球益」「人類益」に立った連帯を築くべきであり、そのためにも地球民族主義ともいうべき人類共同体意識の確立、人類的生存権を最優先する原則に立つべきであること。これが、<生命・生活・生存>を最大に尊重する人間主義=中道の本質であると。

むろん公明党が、そうした中道の理念・路線の下、政治的リーダーシップを発揮し、日本政治の座標軸の役割を果たすためには、党自身が誰よりも、先見性や洞察力、冷徹な分析力、合理的判断力、大局観と総合力といった政治的知恵を磨きに磨くことが不可欠であり、自己研さん、自己練磨に不断に努めなければならない。

また、公明党の中道路線は与党・野党の立場に変わりなく一貫したものであるが、中道政治それ自体の影響力としては、当然ながら、公明党の党勢・力量が強く高いほど、大きいものとなるのはいうまでもない。

さらに、「政治の本質的属性は権力であり、……政治をおこなう者は、権力それ自体のためであれ、他の目的のための手段としてであれ、権力を追求せざるをえない」「権力が一切の政治的行為の原動力」(マックス・ヴェーバー)と見なされており、権力を行使する立場、すなわち政権与党の座にあることは、当然ながら、中道の影響力発揮をより可能ならしめる。その意味で、現にわが党は長期にわたり政権の一翼を担っており、引き続き現在の自公政権を今後とも存続・発展できるよう、従来にも増して国民の支持と理解を得るべく最大努力していかねばならない。

「分断」「対立」から「統合」「協調」へと促す理念と政治手法
公明党が、高く掲げ、実践している、中道政治の理念・手法は、日本政治におけるのみならず、現今の混迷する国際政治の場裏においても、現状打開・改善を図る上で重要な示唆を与え得るのではないか。

欧米社会では昨今、グローバル化がもたらしたマイナス面ともいうべき富の偏在と貧富の格差拡大、中流・中間層の没落、産業の国外移転に因る雇用減・賃金伸び悩みなどによる社会的不安定化、また移民・難民流入をめぐる排外的ナショナリズム台頭、テロ横行への恐怖など、政治、経済、社会の病理が顕在化しているが、これら諸課題に取り組む政治の側にポピュリズムが蔓延。問題解決を難しくしているだけでなく、政治システムである民主主義を揺るがせ、社会的亀裂を助長し、二極化分裂、左右勢力の対立を煽る形となっている。その結果、随所で“分裂・分断・分極化”を深くし、民主主義の停滞・後退・劣化を招き、政治的社会的安定を損ねている。

こうした状況に対し、例えばイギリスのトニー・ブレア元首相は、「分裂の時代こそ、中道から革命を」(「ニューズウィーク」18年1月2日&9日号)と題し、こう指摘する。「最近の欧米の二極化には恐怖を覚えるほどだ。国民は互いに考え方を共有せず、協力せず、好意も持たない『2つの国』に分裂している。こんな状況が続けばいずれ民主主義は魅力を失い、政府は機能しなくなる。……だからこそ両極の間に橋を架ける政治、2つの点で従来とは異なる中道政治が必要だ」と。いうところの「2つの点」とは、徹底的な変革の必要性と、中道派の政治家の党の枠組みを超えての連携のあり方を指し、「革命の時代精神を極右と極左に独占させるのは惜しい。中道も、停滞した今の政治を破壊する力を身に付けるべきだ」(同)と強調している。

むろん公明党の唱える中道と、トニー・ブレア元英首相の言う中道とは同じものではないが、めざす方向性については共通するものがあり、中道勢力の奮起と、その果たす役割の重要性を訴えるものであろう。

冒頭部分で引用・紹介した、米政治学者のイアン・ブレマー氏はGゼロ・サミットでの講演の中で、「日本は民主主義がまだ機能しており、世界のモデルだ」と述べ、日本が世界の秩序維持のためにより大きな役割を担うべきだとの考えを示した(「読売」18年10月20日付)、と伝えられた。国内外とも激動する時代の渦中にある我々にとって、国内政治の向上・発展を期するのはむろんのこと、社会に瀰漫する対決と分断の悪弊を是正し、民主主義機能を蘇生させ、秩序ある政治経済システムを築き直し、21世紀を「平和と共生の地球社会」とするためにも、前述のような積極的な意義内容を持つ中道の理念・手法を、状況転換への方向定位すべき座標軸の原点に据え、その宣揚と影響力の拡大・強化を進めていくことが、今日何よりも求められていよう。





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■公明党東京都本部 役員一覧■

2022.9.25現在
/index.php?a=11124&action_TopIndexPC=true&page=19
役員会 代表 岡本  三成
代表代行 中嶋 義雄
副代表 竹谷 とし子
  塩田 博昭
  河西 宏一
  東村 邦浩
  松葉 多美子
幹事長 小磯  善彦
幹事長代理 谷村 孝彦
高倉 良生
副幹事長 伊藤  興一
  大松  成
  齋藤 泰宏
  加藤 雅之
  小林 健二
  薄井  浩一
  細田   勇
幹事会会長 長橋 桂一
幹事会会長代理 勝亦  聡
規律委員 規律委員長 中山 信行
  吉田 由利子
規律委員 中島 正寿
監査委員 監査委員 久保 里香
  木島  崇
幹事会 幹事 慶野  信一
  古城  将夫
  高久  則男
  勝亦   聡
  竹平  智春
  玉川  英俊
  鎌田  悦子
  北口  剛士
  松丸  昌史
  佐藤  公男
  米田  和也
  高橋 佳代子
  阿部 利恵子
  吉田  富雄
  雨宮 秀樹



■公明党東京都本部 役員一覧■

代表岡本 三成
代表代行中嶋 義雄
副代表竹谷 とし子
副代表塩田 博昭
副代表河西 宏一
副代表東村 邦浩
副代表松葉 多美子
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幹事長代理谷村 孝彦
幹事長代理高倉 良生
副幹事長伊藤  興一
副幹事長大松  成
副幹事長齋藤 泰宏
副幹事長加藤 雅之
副幹事長小林 健二
副幹事長薄井  浩一
副幹事長細田   勇
幹事会会長長橋 桂一
幹事会会長代理勝亦  聡
規律委員長中山 信行
規律委員吉田 由利子
規律委員中島 正寿
監査委員久保 里香
監査委員木島  崇
幹事慶野  信一
幹事古城  将夫
幹事高久  則男
幹事勝亦   聡
幹事竹平  智春
幹事玉川  英俊
幹事鎌田  悦子
幹事北口  剛士
幹事松丸  昌史
幹事佐藤  公男
幹事米田  和也
幹事高橋 佳代子
幹事阿部 利恵子
幹事吉田  富雄
幹事雨宮 秀樹



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